「 あははっ、
 小鳥ちゃんもパフェ好きなんだね〜。
 こんなに注文して一人で食べちゃう
 のかな〜?
 私もぴゅあ・ミルフィのパフェは大好き
 だから、今度早食い競争で勝負だよっ!
           負けないんだからねっ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[小鳥] 「……競争」

     ――っ!?

[麻人] 「はいーーー!?」

     小鳥先生……今、なんて……?

[小鳥] 「負けた方が、払う」

     ――っ!?
     払う!? 負けた方が!? これを!?

[麻人] 「きょ、競争って……は、払うって、
      このパフェの代金をですか?」

[小鳥] 「ん……」

     普通に頷く小鳥先生……。
     なんて事だ……。
     なんでこんな事に……。

[麻人] 「でも……、先生はさっきまであれだけパフェを……」

[小鳥] 「……ハンデ」

[麻人] 「…………ぇ」

[麻人] 「(驚き、というより驚異……)」

[小鳥] 「……くす」

     小鳥先生が俺を見て、薄っすらと笑みを浮かべる。

[麻人] 「(こ、これは、なんと言うか……ナメられてる……?
     挑発なのか……?)」

     実際はさほど表情は変わってないのだけれど……
     そう思うと、小鳥先生の顔が小悪魔のように
     見えてくるから不思議だ……。

[麻人] 「(俺が、洗面器パフェを食べ切れないと……
     そう言ってるのか、あの笑みは?)」

[小鳥] 「イヤならいい。私、全部食べる」

[麻人] 「むむっ……」

     明らかに小鳥先生は口の端を吊り上げた。
     言葉とは裏腹に、「逃げるの?」そう言って
     いるように見えた……!

[麻人] 「(クッ……! ここで引き下がっては
     男の名折れ……。
     先生! その挑発に受けて立ちますよ!)」

     この瞬間、俺の中の男の気概が目覚め始めた!
     俺は男だ……! 男なんだっ!!

[麻人] 「……やりますよ」

[小鳥] 「……くす」

     小鳥先生はふにっと笑みを浮かべたまま、
     俺を見つめている……。
     クッ……! あんなに食べてるのに、
     なんて自信なんだ……っ!

[小鳥] 「無理しなくてもいい……」

[麻人] 「いえ、ぜひ、やらせて下さい!」

     そう! ここまで来たら、もう後には退けない!
     ここで小鳥先生を打ち負かせば、俺の事を認めて
     くれるかもしれない……!
     もっと話し合いに応じてくれるかもしれない!
     負けられない……!
     負けられない闘いがここにあるっ!!

[麻人] 「(あかね! 俺はやる! 見ていてくれ!)」

     ここにはいないけど……。
     俺は勝利の女神の代わりに、あかねの笑顔を
     思い浮かべ……
     スプーンを手に取り、小鳥先生を見据えた……!