「 えへへ、これは初めて麻人とデートした時
 の場面だね〜。
 結構前の事なんだけど、昨日の事のように
 思い出すよ〜〜〜。
 この時はまだ『沢村くん』『姫宮さん』って
 呼び合ってたんだよね〜。
           懐かしいな〜〜〜♪」

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[あかね]「えへへ〜、あーんしてっ♪」

[麻人] 「……え?」

[あかね]「あーん♪」

[麻人] 「あ、あーん……?」

     パクッ……ゴク。
     口の中に甘い物が差し込まれる。
     俺はそれを、まともに味も確認せずに飲み込んだ。

[あかね]「おいし?」

[麻人] 「う、うん……?」

[あかね]「その顔っ、あんまり味わえなかったみたいだね〜。
     じゃあもう一回っ♪ はい、あーんして♪」

     あかねがニコニコしながら、スプーンにパフェを乗せ、
     俺の目の前に差し出してくる。
     あかねはすごく楽しそうだけど……、俺は……
     は、恥ずかしい……。
     さっきは突然だったから、不意を突かれたけど……

[あかね]「ん? どうしたの〜?」

[麻人] 「え、えっと……」

     恋人同士としては間違ってはいないんだが……、
     いないんだけど……。
     しかし、これって……

[麻人] 「(か、間接キスだよなぁ……)」

     あかねは……

[あかね]「ふに?」

     あまり意識はしていないようだ。