[カノン]「……ま、また私、お尻で……ごめんなさい暁さん、重かったですか?」
[カノン]「…………暁さん」
[カノン]「禍星卿が、何しても起きないって言ってた時みたい……」
[カノン]「……死んじゃってないですよね? 息、してますよね」
[カノン]「………(グスッ)」
[カノン]「な、泣いてちゃダメっ、さっき暁さんが言ってたでしょ? 嬉しかったんだから」
[カノン]「……ちょっと待っててくださいね」
[カノン]「さっき、暁さんは床を……」
[カノン]「開かないっ、どうすればいいですか? わかりません……暁さん」
[カノン]「せっかく褒めてくれたのに」
[カノン]「……嬉しかったのに」
[カノン]「怖いですっ、暁さん……」
[カノン]「暁さん……」
[カノン]「本当にダメです、私……こんなに大変なことになって、頑張らないといけないのに」
[カノン]「こうやってくっついて、怖いのから逃げようとしてます……」
[カノン]「暁さんがとっても優しかったから」
[カノン]「……ごめんなさい、暁さんにはフィオラさんがいるのに」
[カノン]「フィオラさん……」
[カノン]「初めて暁さんと出会ったあの日、あと……ほんのちょっと勇気を出したら、違う私になれたのかな」
[カノン]「暁さんと……」
[カノン]「……………(きょろきょろ)」
[カノン]「ダメっ、こんなことしちゃ……暁さんは眠ってるのに」
[カノン]「……何か、大変な病気かもしれないのに………」
[カノン]「……こんなこと………」
[カノン]「ン……っ!」
[カノン]「寝てますよね? まだ……起きないでください。これ、私の胸にしまっておきます。出しゃばりませんから」
[カノン]「思い出、だけ……です、から……」
[カノン]「ン、んっ、ちゅ……ん」
[カノン]「胸、すごいですっ、ドキドキして………キスってこんなに……」
[カノン]「それとも、相手が暁さんだから……」
[カノン]「んん、ん……は、んっ、ごめんなさい……ちゅ、ごめんなさい……」
 ……くすぐったい。  俺はどうやらいつものあれで意識を失った、ということはわかる。
 カノンちゃんに助けられたことも。
 だからといって、カノンちゃんが俺の体質のことを知っていたはずもないし。
[暁](……なんでキスなんだ?)